鯉の描く渦2009/04/24
ふと気がつくと窓の外のもみじが少し前までは枝だけの寂しげな樹だったのに、いつの間にか葉を生やしていた。よく見ている景色のはずなのに今まで気づかないでいたのは、自分の不注意のせいなのか、それとも、それほどまでにもみじが早く葉を生やしたせいなのか、私はもみじの葉を抜けて濾過されたような柔らかな光が差し込んでくるのを眺めながら考えていた。自然は時に人が驚くような速度で姿を変える。けれどそれは成長だけではなく、衰退も同様に驚くべき速度で進んでいく。北極熊はこれ以上泳ぎが上手くなる必要はないのに、彼らが泳がなくてはならない場所はどんどん増えていく。
日差しが少し弱まる時間、いつもよく行く公園に散歩に行くと、池の中心で何匹もの鯉がお互いを追う様にくるくると回っていたので、池には小さな渦ができていた。一体何をしているのだろう。そういえば子どもの頃、学校の授業で皆で手をつないでプールを回り、流れるプールを作ったことがあったけれど、鯉たちも同じような遊びをしているのだろうか。いつもパンをあげていた鴨たちはすっかりいなくなっていて、水面にはただ、その鯉たちの作った渦が見えているだけだった。