窓の外へ膨らむ思考2008/05/04
外は強い風で窓を開けようとすると、いわゆる縦すべり出し式というらしい外側に押し出すタイプのその窓は強い調子でバタンと音を立てて閉じてしまう。何度か開き、その度に風に閉じられているうちに、これはもう諦めるしかないと思いその窓を開けておくことはもう諦めたのだが、外は良い天気でなんとしても部屋にこの日向の快い匂いを取り入れたいと思っていた私はなんとも残念な気持ちで窓を閉じた。仕方なくベランダ側の引き窓を開けるとそこからは車の通る音、踏切の鳴る音、そしてそこを通過して行く電車の音が聞こえて来て、私の頭の中には今月になって値上げしたガソリンのことや、よく何かしらの理由で遅れているその路線の電車のことなどが膨らんで来て、少しも快い気分どころではなく、むしろ不快な気持ちになってしまうのだった。
次第に頭の中で膨らんで行くそうした窓外の出来事を、しかし私は止める事もせずに考え込んでいる。窓の外には騒音の数だけ現象が起きている。それらは私の人生とはまったく関わりのないものも多くあるのだろうけれど、そうしたすれ違って行くもの達の隙間に私は自分の想像を植え付けてみる。例えば今、ブーンと音を立てて通り過ぎて行った車に、自分の乗る事のない電車に、それを遮った遮断機に。
その思考は停止することなく、私の意思とはもはや無関係に街中に広がって行く。私の想像は今や通り過ぎて行った車の助手席に座り、値上げしたガソリンが入っているだろうタンクの中、さらにはそのガソリンの原産国にまで到達しようとしている。